
日本の皆様へご挨拶
この地は、“エゲルの牡牛の血”という意味のエグリビカヴェールと呼ばれる赤ワインが世界的に大変有名です。私たちはこの地で伝統を守りながら個性ある赤ワイン、白ワインを生産しています。
この地域は火山性土壌で多様なミネラルが豊富にあり、繊細な果実とスパイシーなアロマを含む葡萄を産出し、高い評価を得ています。近年はアメリカの著名なワイン評論家 James Suckling氏から高い評価を頂き、世界の100社のワイナリーにも選ばれ、2024年秋には初めてグランドハイアット東京でお披露目をさせて頂きました。ビカベールは複数の固有黒ブドウをブレンドして作られる赤ワインで、濃厚な味わいと芳醇な香りが特徴です。クラシック、スペリオール、グランンドスペリオールがあり、クオリティの高いワインが作られています。DWWAのコンテストではトップ賞などハイレベルの賞を頂きました。
St. Andrea ワイナリーは日本拠点として新進ワイン情報と販売を㈱ホクトコーポレーションを通じて皆様にご提供いたします。私どものエグリビカヴェールを一度お召し上がり頂けると大変嬉しいです。
敬具


奇跡に守られて生きる
セント・アンドレアのぶどう畑で、たくさんの心温まる瞬間を過ごしてきました。ブドウを育て、ワインをつくっていると、人の小ささや無力さを痛感することばかり。その中で本当に大切なこと、完成度の高い美しい姿とは、神のおぼしめしや大自然の力に、自分を委ねることだと気づかされます。これに気づくと、山のような課題や予期せぬ困難、孤独な奮闘も、心穏やかに受け入れることができます。うまくいっても、いかなくても、すべては神の贈り物であるとありがたく思えるのです。日常のささいなことも含め、神が私たちを見守ってくださっていることに、いつも深い感動を覚えています。
大変うれしいことに、私たちの仕事を温かく見守ってくれる人々がおり、ワインを心から楽しみ、現在のワインのクオリティを高く評価してくださっています。そして、大変ありがたいことに、私たちは数十年に渡りエゲルのワイン地域でブドウ栽培とワイン造りに携わることができ、子ども世代もこの仕事の大切さと意義を理解し、エゲルのワインが世界のワイン界で独自の地位を確立できることを望んでいます。エゲルは、ワインの文化遺産にも恵まれ、ワイン産地としての特徴も独特、際立って個性のあるワインがつくれる、本当に素晴らしい場所です。
私たちは日々、美しいほどに善良でありたいと努めています。幸せを感じるのは、お客様が楽しんでくださる時、手入れの行き届いたぶどう畑で働ける時、私たちのワインに誰かが関心を示してくださった時、私たちのワインが世界で認められた時、皆で支え合って働いている時、素晴らしいことを語る時。喜びを感じるのは、トラクターが順調に動き、皆が持ち場をしっかり回し、良いぶどうが取れた時、時には驚くような素晴らしいぶどうが収穫できた時です。そして、それ以上に、私たちのワインが信頼をもって飲まれている時は特に大きな喜びです。いつも自分に言い聞かせています。これは、どれひとつとっても当たり前ではない、すべて天からの贈り物だと。私たちは奇跡に守られて生きています…。「素晴らしい贈り物、美しい贈り物は、すべて天が与えてくださったものなのです」
VINEYARD -ブドウ畑-
思い起こせば、私たちがこの20年間に経験した何百もの困難や試練、挑戦は驚くことばかりです。競争が激しい国内のブドウ栽培とワインづくりの世界で、ワインメーカーとして生き残ることができているのは奇跡です。しかし、それ以上に素晴らしいことがありました。
最初の10年で、私たちは、皆が望むような国内の評価を総なめしました。20年目には、国際的なワインイベントで評価を受けるようになりました。
私と息子の2世代に渡り、こうした道のりを歩んでいることは、深い感動であり、ワインづくりへの確固たる自信につながっています。
この実績は励みになり、自分たちは居るべき場所にいると信じることができました。
力を尽くしてエゲルのワインを洗練し、その独自性を全力で世界に紹介することが、単なる仕事だけではなく、私たちの義務であると強く感じています。

ワインづくりの哲学
伝統を継承しながらも現代のクオリティへの期待に応え、ぶどう畑の特徴を表したワインをつくろうとしています。特に注目しているのは、この地域の伝統的なぶどう品種、オラスリズリング、ハールシュレヴェリュー、フルミント、カダルカ、そしてケークフランコッシュなどです。ぶどう畑をより深く理解するよう努め、年々ぶどう栽培を向上させ、ワインづくりのプロセスを洗練し、ぶどう品種それぞれのニーズに応えながら、この土地できること、すべきことを見つけ出そうと努めています。
ワインの品質はぶどう畑で決まります。現代のぶどう栽培やワインづくりの知識と、古典的な方法とを組み合わせることで、独創的なワインを生み出したいと考えています。
“誠実な”ワインメーカーであればだれもが、ワイン、ぶどう畑、そしてワインづくりの腕について、高い評価を得たいと思っているに違いありません。この想いが、私たちを動かし、やる気にさせ、鼓舞するのです。私たちには、忘れられない瞬間をもたらす至福の傑作ワインをつくる力があるのだと、証明したいのです。
誰かがこのクオリティレベルを達成し、それを何十年も揺るぎなく、着実に維持できれば、そのワイナリーは当然ながら名声あるワイナリーとして、そのワインは象徴的なワインとして、次世代のワインメーカーの人々をも魅了することができるでしょう。
WINEMAKERS

(ボリゴマガジン 2010年)




